第11章 朝の二人
「岩泉先輩が思ってるより、好きです」
誰よりも何よりも、疑いようがないぐらい大好き……。
及川先輩や影山とセックスしてる時に、もしかしたら好きかもしれないって思うと岩泉先輩の存在が頭に浮かんで、そんなはずないって罪悪感が生まれる。
でも岩泉先輩を想う気持ちには偽りがなくて、好きだと思った時に二人の存在が引っかかることなんてない。
好きな気持ちが本当か葛藤しなくたって、岩泉先輩を想う時に誰のことも思い浮かばないだけで、答えなんてわかってるんだ。
「……っ、クソっ」
照れ隠しでそう呟く岩泉先輩。その反応が嬉しくて、私はこっそり笑った。
「おい」
「……?」
「俺もお前が思ってるより好きだぞ」
「えっ……」
赤くなっていたはずの岩泉先輩の顔は、いつの間にか戻っていて……。
急に言われて嬉しさより戸惑う私に岩泉先輩は続ける。
「お前以外考えられないくらい」
「あのっ、岩泉先輩……」
淡々と言ってのける岩泉先輩に、また私の顔に熱が集まるのがわかる。
私が空けて座った距離を埋めるように、ゆっくりこっちに詰め寄ってくる岩泉先輩。
筋肉がついて男らしい肌に温泉の水滴が滴って色っぽい。首筋、鎖骨、胸板……。
私の体をエロいって言うけど……岩泉先輩の体の方が何十倍も刺激的だ。
目の前に近づいてくる魅惑的な体に、つい視線を逸らす。
「好きだシホ」
「……っ」
「おい、顔逸らすな。こっち見ろ」
無理です……!
見たら欲情してしまう。触れてしまいたくなる……。
ただでさえその体に照れてしまうのに、岩泉先輩がそんな嬉しいことばかり言ってくれるから、もっと嬉しくて恥ずかしくて……。