第11章 11章
インターハイ予選から一日たった今日
朝練は休みなのでわたしは家から一歩も出ていない
学校は?という質問はやめてほしい
そんな気分じゃないんだもん
落ち込んでるから、ではなく
先輩達と会う勇気がないだけ
もしここで引退されたら
わたしはどうしていいのか分からない
今日は具合が悪いことにして、放課後の部活も休もう
《溝口さーん、熱あるんで今日部活休むね》
溝《わかった、お大事にな》
こんなのただの逃げだってわかってるけど
もし今日部活に行って3年生の先輩がいなかったら
わたし多分ショックで立ち直れない
……明日いっても同じなんだけどさ
そしてウダウダ考えるのがめんどくさくなって眠る
それからしばらくたった頃
――ピンポーン――
家のインターホンがなる
時刻は気付くと9時前だった
誰だろう、こんな時間に
『はーい…って、徹先輩?』
モニターに映し出されているのは徹先輩
……もしかして家に来て律儀に引退の報告だろうか
やめて欲しい
まってわたし何言われるんだろう
及「…ちょっと上がってもいい?」
あ〜居留守とか使えばよかった
バカなのかなわたし
『いいよ…』
仕方なく徹先輩を家に上げる
けど、徹先輩の顔は浮かなかった
やっぱり引退の話ですか?
ほんとにやめて欲しいんだけど……
リビングに通し二人でテーブルに向かい合って座る
なかなか徹先輩は話し出さない
もう要件は分かってるんだから早くして欲しい
……仕方ない
『引退の、はなしだよね?』
わたしから話を切り出す
及「え?」
『いや、今日で引退したって報告だよね…?』
及「引退?するわけないじゃん
まだウシワカ凹ましてないんだから」
……え?
じゃああなたは何をわたしに話に来たんだろう
でもそんなことはどうでも良かった
わたし今泣いてる
徹先輩が引退しないって聞いて
安心して泣いてるんだ
及「ちょっと奈々ちゃん!?」
『…あんしん、して』
及「安心?」
『先輩達引退しちゃったらどうしようって思って
今日部活いけなかったんだ、サボってごめん』
及「……相変わらず奈々ちゃんはかわいいね」
はぁ〜よかった!
よかった……はずなのに
徹先輩がいつもと違う気がした