第10章 10章
及川side
奈々ちゃんと別れてひとりになると、後悔が溢れてくる
今日なんであんなことを言ってしまったのか
今日なんでもっと早く助けに行けなかったのか
今日なんで自分の思いを言えなかったのか
完全に俺の子供みたいな嫉妬のせいで
ひどいことを言いってしまったと思う
青城のみんながライバルで心休まらないのに
それにさらに他校なんて気が気でない
しかも奈々ちゃん自分がもててる自覚ないし
ホント一番タチ悪いやつなんだよね〜
早く助けに行けなかったのは
みんな落ち込んでてなんかラーメン屋の雰囲気がやばかったから
みんな奈々ちゃんに言われた
「彼氏じゃないのに!」みたいなことをずっと気にしてたんだと思う
そして最後のなんで俺は気持ちを伝えなかったのか
ってことは簡単だ
勇気がない
ただそれだけ
奈々ちゃんにふられる勇気も
ゆうゆちゃんの言うとおりにしなくて
奈々ちゃんを傷つけるという勇気も
なかったからだ
だってさっき部室のなかで電話してたのも
いとこだったし
ふられる勇気がない
こんな思いなら
ゆうゆちゃんと付き合って奈々ちゃんを
影から守るしか俺に残された道はないのかもしれない
奈々ちゃんはきっと
俺のことを好きだとは思えないから
……あ〜もうやだやだ
明日はトビオのいる烏野と試合だっていうのに
こんな事考えてる余裕ないや
とりあえず奈々ちゃんの言ってたことを確認してみて、寝ようっと
明日は絶対に負けないよ
だって奈々ちゃんが
俺のトスを世界一好きって言ってくれたから
トビオにだって負けるわけには行かない
こんなところでも奈々ちゃんが出てきて
俺の頭には奈々ちゃんとバレーしかないのかもね