第8章 8章
それから俺達が迷子になってしまったことに気づく
これ下手に動いて
合宿所から更に離れる可能性もあるしな…
あんま動かない方がいいな
たぶんもうすぐ及川が迎えにくんだろ
そう思って奈々に携帯をかりて
及川に電話をかける
そして最後にこいつが最もやる気をだすであろう
岩「早くこねーと奈々のこと襲うから」
奈々にはそんな気全くないとは言ったけど
別に奈々が嫌じゃないなら俺はいいんだけどな
なんて、割と最低なことを考える
でも外って言うのがな…
って俺何考えてんだ最低かよ
奈々が
俺と及川を羨ましいっていうから
俺が思ってる幼馴染みについて奈々にいったら
『じゃあはじめ先輩も徹先輩が大好きってことでいい?』
なんて言われて胸糞悪い
とはならない
あながち間違ってねーしな
嫌いだったらここまで一緒にバレーやってねぇよ
そして奈々が
俺が及川がもてて羨ましくないのかって聞かれたけど
別にいろんな女からモテて
羨ましいとは思わねぇよ
俺はただお前に好かれればそれでいい
でももしひとつ
及川を羨ましいと思うことがあるなら
奈々に思ったこと、
自分の気持ちを素直に伝えられる及川が羨ましい
今だって二人きりなのに
何も伝えられない自分が嫌になる
あー、ほんとめんどくせぇ
俺ってこんなめんどくせぇやつだったか?
……微かに足音が聞こえてくる
及川のか
岩「及川くんぞ」
そういうと奈々は驚いた顔で俺を見た
……かわいい
言えないその言葉をおれは飲み込んだ
とりあえず今日は及川に感謝するか