第21章 二人なら
心配になり口を開いた
安田「ちょ、お腹は・・・・」
驚いたように言う安田に
雪は悲しそうな顔をしながら
雪「何故か・・・・」
その言葉に錦戸は答えるように
錦戸「ここは精神の世界やから
赤ん坊はきてないんやろ?
俺たちはみんなのおる所では
眠ったまんまやろうし・・・・」
その言葉で雪は
赤ん坊が無事で安心する顔を見せたが
何かを感じ取ると
二人の腕を引っ張り
二人が来た道を戻るように勧めたのだ
錦戸「逃げろって事か?」
雪の行動を錦戸は察して言うと
雪は静かに頷いた
しかし雪には
もう逃げる体力は残ってなかった
二人だけでも助けたいと思っていた
足手まといになるぐらいなら
自分はこの場に残ろうと・・・
無言で腕を引っ張り続ける雪に
錦戸は小さなため息を付くと
錦戸「ヤス、本気で逃げるで」
錦戸は安田にそう言うと
さっと雪を抱きかかえると走り出した
驚く雪に錦戸は
錦戸「自分がおとりになるなんて
許さんし、
そんな事をしたら大倉に顔向けが出来ん」
錦戸は雪を見ずに前だけを向いて走っていた
安田は敵を気にしながら後を追って走る
今、動けるのは自分だけだから
戦闘態勢になっていた
雪は、疲れが出たのか安心したのか
錦戸の胸でぐったりとしていた
その様子を錦戸は見て
錦戸「よう頑張ったな・・・」
その言葉を雪は聞くと小さく微笑んだ
安田「雪も、やっぱ吸血鬼やな」
安田も嬉しそうに言った
すると雪は小さい声で
雪「旦那の誇りを潰せないから・・・」
そう言うと恥ずかしそう笑ったのだ
三人はある部屋に向かって走り続けた
必ず助かる部屋に向かって