第3章 客【ミヨ】
ミヨは、部屋の扉を閉めるとため息をついて
部屋全体を見渡した
綺麗に清掃が行き届いた部屋だ
年代物の家具が置かれている
ミヨは、その家具の高価さに恐々と動き
ゆっくりとソファーに腰をかけた
ミヨとミナは
いつも色違いの服を着せられていた
本当は赤かピンクの服が着たかったが
ミナが先に取るから
白や水色になっていた
いつも
ミナが着ている赤い服を羨ましく見ていた
そして
何よりも嫌だったのが
赤を着たいと言えない自分だった
いつも人の顔色が気になっていた
嫌われる事が何よりも怖かった
だから
ミナを尊敬していた
いつも自分の思いを言えるミナを....
ミナがいれば安心できた
お腹の中から一緒だったから
誰よりも安心できた
ミナがいれば良かった
でも
今回のこのホテルの
予約は何故したのか
自分でも分からなかった
ネットで見つけて
面白そうだと思って
気が付いたら予約を押していた
知らない間に指が動いていた
押した瞬間に自分でも後悔した
一人でしか泊まれないと知って
ミナに相談すると
ミナは嫌な顔をしたが
一緒について来てくれた
なのに別々の部屋にさせられて
不安で仕方なかった
ミヨは立ち上がり
ミナの所に行こうとした
その時に耳に
ミナの部屋の扉が開く音が聞こえた
急いで
自分の扉を少し開けて見ると
ミナが部屋から出て行ったのが見えた
急いで自分も部屋から出て追いかけた
ミナが妊婦にぶつかったのも
隠れて見ていた
そして
一人の従業員と言い争っているのも.....