第2章 客 【ミナ】
ミナは幸せそうな二人を見送っていた
ミナ「あの女の人は従業員の家族なの?」
不思議そうに首を傾げていると
突然
後ろからぶっきら棒に声を掛けられた
錦戸「お客様
夕食前に勝手に出歩かれては
困るんですが......」
ミナが驚いて振り向くと
その従業員は愛想なく立っていた
ミナ「.......」
しばらく無言で
見つめ合っていたが
その沈黙に
耐えられなくなったミナが
ミナ「ここでは
客の行動まで制限するの?」
少し怒った口調で告げると
錦戸はニヤニヤして返事を返した
錦戸「勝手な事をして
何が起きてもこちらは
関知しませんが
それで良ければ.....」
そう告げるなり
錦戸はミナの前から去ろうと
背中を見せて歩き出した
その態度と言葉に怒っていたミナは
錦戸に駆け寄り
ミナ「ちょっと待ってよ」
錦戸「なん?」
あくまでも錦戸は態度を変えずに
冷たい目でミナを見ていた
ミナ「なんで、そんな目で見るの?」
その言葉に錦戸は不思議そうな顔をした
錦戸「はぁ?」
錦戸にしたら意味が分からなかったのだ
ミナ「なんで私には、そんな冷たいの?」
ミナは
錦戸に止まる事無く言い続けた
錦戸「俺は、いつもこうやけど」
錦戸は呆れていた
ミナ「ミヨなら....」
その時だった
錦戸の目の瞳の色が
うっすらと赤になった
それをミナは見逃さなった
ミナの身体が一瞬
水を浴びたような感覚になった
そして錦戸は冷ややかに言った
錦戸「不幸を見せびらかすほど
愚かなもんはないで....」
錦戸の言葉を聞き
ミナは黙ってしまった
錦戸「もう少ししたら
誰かが迎えに行きますので
お部屋でお待ちして下さい」
ミナは錦戸の言葉に従って
大人しく部屋に戻って行ったのだった