第10章 吸血鬼
その錦戸と安田の前に
ミヨがミナを抱きしめるように
入って来たのだ
ミヨは身体を震わしていたが
ミナを抱きしめながら
必死で男二人を見据えていた
錦戸「・・・なん?」
錦戸は牙を見せながら冷たく睨む
ミヨ「・・・もう、やめて下さい」
錦戸「はぁ?」
錦戸の威嚇のような声に
ミヨは身体を竦ますが
ミナを震える手で抱きしめ続けたのだ
その様子を安田は見ると
威嚇している錦戸の肩を掴み
安田「亮ちゃん、そこまでや」
安田の言葉で錦戸の動きが止まった
安田「これ以上したら
俺らが怒られてまうで?」
安田は笑いながら
いつもの人間の表情に戻した
錦戸「そんなん
俺はかまわへんけどな」
錦戸のそう言いながら
瞳が元に戻っていった
安田「そんなん、俺は嫌やし」
安田は笑って言った
そしてミヨの耳元に
ゆっくりと近づくと
安田「嚇かしてごめんね」
ミヨは驚いて
安田の顔を見て急いで離れたが
安田の優しい表情に
安心した自分がいたのだ
錦戸「さて
ほんまに大人しくしてくれんと
どうなっても知らんけどな・・・・」
錦戸は冷たく言い放った
その言葉の冷たさに
ミナとミヨは顔を青ざめていた
その時だった
扉を霧になってすり抜けて
村上が部屋に入って来たのだった