第9章 誇り高き者
その大倉の様子を見ながら
横山は小さくため息をつくと
横山「今回は
ホンマに嫌な予感がするから
マル、深読みはするなよ」
丸山は横山の言葉に頷くと
雪の額に手をあて
意識を集中させ始めた
大倉、横山が見守る中
丸山の顔つきが変わっていく
その表情を大倉は見て不安になっていった
突然、慌て手を離すと
荒い息で震え始めたのだ
その丸山の様子に
いつも冷静な大倉が声を荒げて
大倉「雪は、雪はどうなった?」
震える丸山の胸を掴んで
答えを催促し続ける大倉から
顔をそむけるように丸山は俯き
丸山「・・・雪は夢の世界で捕まってる」
大倉はその言葉に衝撃を受け
丸山の胸を掴んでいた手が
力なく離れていった
二人を冷静に見ていた横山が
二人の間に立つと
丸山を冷たく見据えた
横山「アイツにか?」
その言葉に丸山が無言で頷き
そして震える声で
丸山「正確には
まだ逃げている・・・」
その言葉に横山は口の端を上げて笑った
横山「雪も吸血鬼らしくなったな」
その言葉に大倉の顔が横山に向く
横山は強い目線で
丸山と大倉に向かって言った
横山「女が夢の中でも頑張ってんのに
男たちは青い顔してるて
落ち込んどるんか?」
その言葉に大倉の顔つきが変わった
横山「俺たちは誇り高い吸血鬼なんを
お前らは忘れたんか?」
その言葉で丸山の瞳は深紅になっていく