第7章 命 【錦戸・ミナ】
その黒い裾がしっかりと見えてくる
所々がほどけていたり、破れており
薄汚れている事が
かえって気持ち悪かったのだ
あと一歩との所まで来た時だった
『.....こいつじゃない』
そう気持ち悪い言葉を残すと
黒い裾は目の前から霧のように消えたのだ
二人は目の前で起こった事が
夢だったかのように
部屋は緊張が解けて静かさを取り戻した
錦戸「......」
錦戸は起こった事に唖然とし
身体中に冷や汗をかいていた
ミナ「.....今のはいったい」
ミナも自分が
震えていることに気が付いた
錦戸「分からん....」
二人はゆっくりとピアノの下から出た
そして
立ちあがた時に声をのむほど驚いた
あの黒い裾の者がピアノに手をついたのだろ
手の痕があったのだが
それはどう見ても骨だけの痕だった
ミナ「......」
ミナは驚いて見つめていると
錦戸「いったい
何が起きてるねん....」
そう呟きながら
得体の知れない敵に
錦戸は恐怖を
抑える事が出来なかったのだ