第7章 命 【錦戸・ミナ】
ミナはなぜか
嫌っている錦戸から去ることなく
演奏を静かに聞いていた
錦戸「cantabili【カンタービレ】」
錦戸はボッソと呟いた
すると
ミナ「歌うように.....」
ミナも錦戸に言った言葉に合わすように
呟いた
錦戸は小さく笑った
ミナも音楽を
知っていると分かったから
錦戸「lacrimoso【ラクリモーソ】」
ミナ「涙ながらに....」
錦戸は曲の流れを変え悲しい曲になった
錦戸は嬉しそうに演奏を続けた
錦戸「e」
ミナ「そして…」
錦戸の言葉をミナはかえす
その様子を錦戸は楽しむように
演奏を楽しんだ
錦戸「scemando【シェマンド】」
錦戸はゆっくりと弾く
ミナ「消えていくように....」
ミナの言葉と同時に曲は
消えるように終わった
ミナは感じていた
もしかすると
この錦戸は自分と同じように
悲しみ孤独を持っているのかもしれないと
曲が悲しみで満たされていたから
だから錦戸の曲に引かれたのだろう
演奏が終わった錦戸は
満足げに鍵盤を見ながら微笑んでいた
この時に初めて
ミナは錦戸に興味を持ったのだ
錦戸の抱えている孤独と優しさに
するとその時
錦戸は何かを感じ
素早く動き
軽々とミナを抱えると
ピアノの下にほり込んだのだ
ミナ「何するの!!!!!!」
突然の事に
ミナは怒り必死に抵抗しようと
暴れ始める