第66章 井戸
村上は静かに言った
村上「なるほどな・・・
やから横が
焦ってるって思ったんやな」
その言葉を聞いて
横山はため息を付いた
横山「俺もまだまだやな・・・」
丸山は横山の顔を見つめると
そして寂しそうに言ったのだ
丸山「相手は・・・
本当に頭の良い奴だね」
その言葉に横山は丸山を睨んだ
丸山「精神的に相手を追い詰める手段を
知り尽くしてる気がするよ・・・・」
それを聞いて横山は小さく笑って答えると
村上が丸山に言ったのだ
村上「追い詰めるって・・・」
不思議そうな顔をしている村上に横山は
横山「人は時間を制限されると
焦りを感じる」
その言葉に丸山が付け足した
丸山「僕たちは赤ん坊の命の期限でね・・・」
その言葉で村上はやっと納得した
村上「やから
横までも焦ってもうたんやな?
赤ん坊の命を救うために」
丸山が静かに頷く
そこに
後から出て来た渋谷と錦戸がやって来た
錦戸「あれ、マルと村上君もおったんや?」
その声に丸山は笑顔で答えた
丸山「部屋から出て来た
横山くんを見付けてね」
そんな丸山を見て渋谷は
渋谷「ほんなら、今から向かう所も
知ってるって事か?」
その言葉に村上も一緒に頷いた
渋谷「なら、話が早いな・・・」
渋谷はそう言って笑うと
井戸に向かって歩き始めたのだった
それにつられるように
他の者も歩き出したのだ
そこに村上が自分たちの事を報告しようとした
村上「実は、俺らが食事に迎えに行ったら
ゲストのおとなしい方が
赤ん坊が隠されてる絵を
刺して命を奪おうとしたから
監禁部屋に居れてる・・・」
村上は簡単に話すと
横山が静かに頷いた
村上は
本当は全てを話したかったが
そんな気持ちになれなかったのだ
自分が知った
ミヨの気持ちが痛かったのだ
死を知っている村上には・・・・