第64章 悪
丸山はその時の事を
思い出しながら言った
丸山「なぜ、貴女はそこまで・・・」
丸山は寂しそうな声で聞くと
ミヨは少しだけ微笑みながら言った
ミヨ「ミナとは
お腹の中からずっと一緒なんです・・・」
その言葉に聞いていた男は何も言えずにいると
ミヨは話を続けたのだった
ミヨ「ミナとは一緒に
笑って泣いて過ごしてきました
だから・・・
ミナの望みは私の望みなんです・・・」
ミヨは言うと嬉しそうに
ミナを見つめながら笑ったのだ
その言葉を丸山と村上は受け止めた
村上「それだけの為に
お前は自分の命を犠牲にするんか?」
ミナは躊躇なく頷き返事をした
その姿に村上は少し呆れた顔を見せると
丸山が言った
丸山「子供の時も
彼女が死にたくないと願ったから
貴女は死神と契約をしたんだね・・・」
ミヨはその言葉に視線をそむけながら
ミヨ「その時の事はよく覚えていません
でも、離れたくなかったって・・・
水に沈んでいくミナを見て思った事は
覚えています・・・」
ミヨは辛そうに意識のない
ミナを見つめ続けていた
村上「その為なら
お前は誰が悲しもうと
ええと思ってるんやな?」
村上の言葉に
ミヨの身体は震え始め
両手で自分を抱きしめて止めようとした
自分のやろうとしている
罪の深さを目の前に突き付けられたからだ
そんなミヨを丸山は
悲しげな深紅の瞳で見つめながら
丸山「僕たち吸血鬼には
慈悲はないんだよ・・・」
そう冷たく彼女に告げたのだ
その言葉にミヨは
丸山を見つめると
また泣き始めたのだ
そんな様子を見て村上はため息を付きながら
村上「とりあえず
こいつは別の部屋に監禁しとこう?
横に報告もせなアカンしな」
そう言うと強引にミヨの腕を掴むと
無理矢理立たせ
部屋から連れ出したのだ
丸山は意識のないミヨに目線を送り
丸山「この事件の一番の悪は
いったい誰なんだろうね・・・・」
そう悲しそうに告げると
部屋の扉を静かに閉めたのだった