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Dye D? 3

第63章 月







 錦戸は屋敷の外で過ごしていた



屋敷の屋根に一人寝そべり

新しく生まれ変わった月を見ていたのだ




錦戸は細い月を見ながら

今回の事件を一人で考えていた




ゲストの態度も最初から

おかしかった

自分たちが吸血鬼と知って

恐怖はしたが怖がってはいなかった



そしてゲストを

自分たちが食事と考えずに

誰もが過ごしていた



そう初めてゲスト見た時から

錦戸は食欲を失せていた

こんな事は初めてだった



錦戸は思った

敵がゲストを守るために

わざと死臭を出していたのだと





考えると最初から

自分たちは敵に踊らされていたと

錦戸は思った




 
錦戸「ちっ、胸くそ悪い・・・・」





錦戸は吐き捨てるように呟いた





目の前に浮かんでいる月は綺麗だった

真っ暗な空に

進む道を優しく照らすように

月の光は伸びていた





自分が闇の者に落ちてから

この光しか見る事ができなくなった

悲しく映る光を

錦戸は見続けていた


儚く消えそうな道を

遠くを思い出しながら






その時だった

錦戸は何かの気配を

一瞬で感じ取り

直ぐに気配を消して

屋根から身を隠しながら覗いてみると





雪が屋敷の外に出て行く姿だった





錦戸は偽物だと知っていたために

自分の気配を消し続けて

雪の様子を屋根から伺ったのだ





雪は辺りを気にするように

庭で人目を避けるように歩いていた




その姿が

錦戸には不思議に映っていた




あれだけ不敵な行動を取っていた

敵が何を警戒しているのだろうと



俺たちと出会ったとしても

敵はまた上手に逃げるだろし

そう考えると不思議で仕方なかったのだ




錦戸は屋根の上から

息を殺して見ながら

敵がどこに向かうのか

興味が湧いていた




もしかしたら

面白いモノが見られるかもしれないと

心の底でワクワクしていたのだ




しかし、今自分が見つかると

命の危険が伴うのも承知だった





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