第62章 心
そんな大倉を見て安田は
少しだけ俯きながら
辛そうに言ったのだ
安田「そろそろ
ゲストの食事の時間やな・・・」
そう言って小さくため息をついた
今の大倉の気持ちを考えると
ゲストと大倉を会わせたくないと
思っていたのだ
大倉は自分の気持ちを
必死で平常を保とうとし
自分の仕事を全うさせようとしたのだ
大倉「そうだね・・・
迎えに行ってくるよ・・・・」
そう言って歩き出した大倉を
安田は服の袖を掴み止め
悲しそうに言った
安田「それなら
マルが迎えに行ってくれてるから」
安田の言葉に大倉の動きが止まり
相手をじっと見つめたのだ
皆が自分に気を使っている事が
痛いほど伝わってくる
それが今の大倉には嬉しかった
大倉「ありがとう・・・」
そう嬉しそうに安田に声を掛けると
ゲストの食事を温めようと
奥のキッチンに足を進めたのだ
安田は大倉の後を追いながら
声をかけた
安田「なぁ、雪の事やねんけど・・・」
大倉が静かに振り返る
その大倉の視線に安田は合わせると
力強く言ったのだ
安田「あんな強い女はおらんから
絶対に助かるよ・・・
そうやろ?」
その言葉に
大倉は辛そうに微笑みながら頷いた
そんな大倉を見ながら
安田は言葉を続けた
安田「あと・・・
お前と雪の子供やったら
絶対に強いはずやから
こんな事に負けるわけない」
大倉は安田の励ましを
大倉は俯きながら受け止めた
この苦しみに闘っているのは
自分だけではなかったのだ
そう・・・・
仲間も一緒に闘ってくれていたのだ
それを知った大倉は
嬉しそうに微笑んで
大倉「ありがとう・・・・
そうだよね・・・・」
安田はその顔を見ると
安心した表情になり
嬉しそうに言ったのだ
安田「さて、俺らは飯の用意をするか?」
そう言うと
大倉を抜いてキッチンに入って行ったのだ
そんな安田の背中を大倉は嬉しそうに
微笑みながら後を付いて入っていたのだ