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Dye D? 3

第6章 命 【村上・雪・ミヨ】




 ミヨは一人廊下で涙を流し続けていた



ミナの拒否がこのホテルに来てから

ひどくなっていると感じていた




子供の時は

あんなに仲良しで

いつも一緒だったのに




ミナが自分から離れようとする事が

悲しかった

ただ悲しかった



ミヨはその場から動けずに

泣き続けていたのだった





雪「お客様、どうされたんですか?」



ミヨの背後に

たまたま通りかかった

雪が優しく声をかけた



ミヨは涙を拭きながら振り向くと

お腹の大きな妊婦が

心配そうに自分を見ていた



涙を拭いて微笑もうとする



ミヨ「大丈夫です.....」



必死に誤魔化そうとするミヨに

雪はそっと近づくとハンカチを渡した



雪「どうぞ....」



雪の手にある白いハンカチを見て

ミヨは微笑んでいた

そして

素直に受け取ると涙を必死で拭いた



雪「一人で泣いていたら寂しくなりますよ」


雪はミヨに言いながら

赤ちゃんに話しかけるように

優しくお腹を撫でていた



ミヨはそんな雪をみて

どれだけ母親が赤ちゃんに

愛情を注いでいるかを

知り心が温かくなっていた



ミヨ「ありがとうございます....

もう大丈夫です」



ミヨはまだ目を真っ赤にしていたが

少しは落ち着いた顔になったように見えた



雪はその表情に安心したのか



雪「それでは

私はこれで....」



雪はミヨに頭を下げると横に置いていた

籠を重そうに抱え始めた

その様子を見たミヨは




ミヨ「あっ、私が運びます」



勝手に身体と口が動いて

ミヨは雪の持っている籠を抱えた


中をそっと見ると

従業員たちの制服のようだった



雪「お客様に、そんな事をさせては」


雪は申し訳なさそうに言うと

ミヨは嬉しそうに



ミヨ「ハンカチのお礼と

赤ちゃんのために....」



そう照れ臭そうに

雪のお腹を見て微笑んのだ

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