第51章 喪失 14【狙い】
横山は静かに部屋に入り
血を見て回ったのた
何も言わずに
色んな角度から血を見続けた
その姿に大倉は疑問を感じた
大倉「横山くん・・・・」
大倉の声掛けにも
反応せずに見続けている姿に
この血に
何の意味があるのだろうかと
大倉は考えながらため息をついた
そして大倉は
何気にベッドに目をやった
愛する妻を心配して
大倉「・・・・雪?」
その言葉で
横山の目線もベッドに向いた
ベッドの上には誰もいず
雪がいなくなっていたのだ
驚きながら大倉がベッドに近づく
あの雪の状態なら
動けるはずがなかったから
大倉「雪はどこに・・・」
大倉は不安そうに横山に訊ねた
横山は静かに大倉の側に来ると
雪が寝ていたベッドを
自分の手で触ってみた
人間だけが感じる温もりを
感じようと
するとシーツは
氷のように冷たかった
その事を知ると小さく笑った
大倉「・・・横山くん?」
大倉は何が起こっているか分からずに
不安で仕方なかった
横山「尻尾が出たな・・・」
その言葉に大倉は驚いていた
そんな大倉の顔を見ながら
横山は静かに言った
横山「お前の言葉が当たってるかもな・・・」
そう言って不敵に笑い
横山「ほんまに頭のええヤツやで・・・
全てがこれのためやったんか・・・」
大倉「横山くん・・・?」
何も分からない大倉は動揺していた
そんな大倉の肩を軽く叩くと
横山「全てが繋がったよ」
そう嬉しそうに笑ったのだ
横山はその時に感じていたのだ
もう直ぐ自分の力が戻ってくる感覚を
時はもう直ぐ正午になる
自分の掌を見て横山は微笑んだ
横山「反撃開始やな・・・」
そう言うと大倉の肩を叩き
部屋を後にしたのだ
全ての謎を解くために
動き出したのだった