第1章 ホテル
古い扉は重く
嫌な音を響かせて開く
白い女には
その音が余計に
不安を駆り立てるのか
恐々と赤い女の後ろから
中を覗いていた
二人はホテルの中に
ゆっくりと入って行った
ホテルの広いロビーは
手入れが行き届いており
いつの時代の置物か分からない
装飾品が落ちついた感じで
飾られていた
ゆっくり二人が先に進んで行くと
いつ現れたのかフロントの前に
色の白い男が静かな笑顔を浮かべて
立っていたのだ
二人は驚いた顔をしたが
男は丁寧で静かな口調で
横山「お客様、お待ちいたしておりました」
深々と頭を下げた
ミナ「予約していた者ですが....」
赤の女が伝えると
男は少し困った顔をした
横山「ご予約の方は
お一人のハズですが.....」
女は彼の言葉を気にする事はなく
ミナ「お金はちゃんと払うし
同じ部屋でいいから
泊めて欲しいいの」
横山「しかし、当店のシステムは
お一人様をおもてなしする
形になっておりますので」
横山が静かに告げると
白の女ミヨが
赤い女のミナの袖を引っ張って
ミヨ「ミナ、私が帰えるから....」
するとミナは引っ張られている袖を
強引に振り払いながら怒鳴った
ミナ「うるさい!
アンタは黙ってなさいよ!」
ミヨは一歩後ろに下がると
俯いてしまった
男は
二人のやり取りを冷静な目で見ていたが
静かに口を開いた
横山「お客様
少々お時間を頂いて
よろしいでしょうか?」
そう告げると
頭を下げてフロント奥に
消えて行ったのだ
女二人はその様子を見て
男が来るまでロビーのソファーに腰を掛けて
静かに待つことにした