第5章 共鳴
ミナの我儘に
錦戸は必死で感情を抑えながら
錦戸「お客様
どちらも、お味は同じですが....」
錦戸の言葉に
ミナは錦戸を睨みつけながら
ミナ「なら、そっちにして
同じなんでしょう?」
ミナは一歩も引く気はなかったのだ
ミナの我儘に我慢が出来なくなった
錦戸もミナを睨みつけた
ミナ「ここのホテルは客を睨むの?」
ミナは呆れたように冷たい口調で言う
その態度が錦戸の怒りを増幅させる
錦戸「アンタの態度もたいがいやけどな!」
錦戸はミナに吐き捨てるように言った
ミヨはそんな様子をハラハラしながら
不安そうな顔で見ていた
どうして
ミナがそんな事を言うのか
分からなった
ミナが全く理解できなかったのだ
そして、何より
声をかける勇気がでなかったのだ
彼らの中でも
どうするべきかと考え始めていた
錦戸の態度は悪いがミナの我儘は
印象が悪い客でしかなかった
錦戸の気持ちが分かるから
動けずにいた
すると横山が静かに動いた
ミナの横に颯爽と立つと
横山「お客様、大変失礼いたしました..」
頭を深々と下げ謝罪をし
そして顔を上げると微笑みを浮かべながら
二人のアイスを見ながら
横山「もう、アイスの方が
溶けてしまいましたね...
新しモノに替えさせて頂きますね」
そう告げ
指をパッチと鳴らし
大倉と丸山が静かに新しいアイスを運ぶと
そして同時に二人にだしたのだ
ミナ「.....」
ミナは静かに両方のアイスを見比べていた
そんなミナの様子を
横山は微笑みながら見つめ
横山「どうぞ
ごゆっくりお召し上がりください」
そう告げて頭を深々と下げると
丸山、大倉も同じように頭を下げた
その姿を少し離れて見ていた
錦戸は怒りを抑える事が出来きずにいた
錦戸「ちっ、なんやねん」
隣で聞いていた渋谷が静かに言った
渋谷「たぶん、同じやないとアカンのかもな」
錦戸「はぁ?」
錦戸は渋谷の言った意味が分からなかった
渋谷「アイスが先に溶けてまうんが
許せんかったちゃうか?」
渋谷はアイスを
同時に食べている二人を見ながら言った
錦戸「それって、めっさ我儘やん」
錦戸は驚きながら呆れた