第40章 二人は・・・・
ミヨが目を開くと
それは自分の部屋で
ベッドの中で寝かされていた
誰かいる気配を感じて
まだ、胸の痛みが残った
身体を動かしながら見ると
壁にもたれかかり
窓から夜の景色を悲しそうな瞳で
渋谷が見つめていたのだった
ミヨ「・・・・・・」
その妖艶な美しさにミヨは見入っていた
人では醸しだす事の出来ない
はかない美しさがあったのだ
それは闇に染まった者の悲しみなのだろうかと
感じていたのだ
ミヨが黙って見つめていると
渋谷はミヨが目を覚ました事に気が付き
渋谷「なんや、気が付いたんや」
静かに声をかけ
壁から身体を起こした
ミヨ「ご迷惑をかけたみたいで・・・」
ミヨは申し訳なさそうに言いながら
ベッドの上で頭を下げた
その姿を見ながら
渋谷は頭をかきながら
ぶっきらぼうに答えた
渋谷「ええんやで」
ミヨは静かに
この美しい吸血鬼を見つめていた
多くの言葉を言わない
他の者よりも愛想もない
しかし的を当ててくる
この人になぜ
こんなに心が乱されるのだろう
渋谷「どなんしたんや?」
何も言わず
自分を見つめ続けていることに
渋谷は不思議に思った
ミヨ「いえ・・・・
綺麗だなぁと思っていたんです・・・」
渋谷は自分の事を言われていると察すると
小さく笑い
渋谷「悪はいつの時代も
綺麗に見えるんやって」
その言葉にミヨは寂しさを感じた
渋谷の本音が少しだけ見えた気がしてのだ
ミヨ「貴方は悪なんですか?」
ミヨの質問に渋谷は一瞬だけ真顔になった
そして
渋谷「吸血鬼は悪やで・・・」
そう冷たく言いはらったのだ