第37章 動き出す
霧から壁の向こうに渡ると静かに
姿をもどした
ここはロビー奥の部屋の
奥にある隠し部屋だった
自分たちが本来いる世界では
横山が封印した部屋だった
姿を戻した安田はあるモノを見て
嬉しそうに微笑んだ
安田「やっぱ、あったやん」
そう言うと静かに鏡を見つめた
雪も霧から姿を戻すと
雪「・・・本当にあったんだ
この部屋も真実を映す鏡が・・・」
そう言うと
雪は鏡を見ようと近づこうとした
すると安田は雪の腕を掴んで睨んだ
安田「それ以上は近づいたらアカン!」
雪は安田に言われて
驚いたように動きが止まった
安田は静かに
驚いている雪に言ったのだ
安田「これは俺らの所では
真実の鏡やけど
ここでは何かわからんからな」
安田の言葉に雪は素直に頷いた
雪の返事を見ると
安田は突然に鏡に背を向けると
安田「さて、俺らの仕事は終わりやな
部屋に戻って報告せな」
そう雪に微笑むと
静かに霧に変わると部屋から出て行った
雪は一人部屋に残ると
離れたところにある
鏡を静かに見つめていた
雪は考えていたのだ
自分たちの所で真実なら
この反対の世界では・・・・・
この鏡をなぜ
横山が調べに来させたのか
意味があるからに違いない
でもその理由がわからなかった
雪は小さくため息をつくと
でも今は
安田の言うとおりにあった事を
報告するべきだと思い
安田を追いかけるように
霧になり部屋を出て行ったのだった