第37章 動き出す
安田は息を飲んだ
死神の圧倒的な強さに
恐怖が自分を締め付けてくるのだ
相手の強さを知ると
この場から逃げ出したくなっていた
その時だった
雪が優しく安田の腕を掴んで
頷いたのだ
その様子を安田は見ると
雪に励まされるように足を進めた
フロントの死神は二人に気が付いたように
頭のローブが動いた
安田の緊張が高まった
雪も一瞬足が止まりかけた
死神は動かずに自分たちを見ていた
しかし
それ以上は何もする様子は見せなかった
そう横山の言葉通りに
安田は頭を少し下げたのだ
それに反応するように
死神も頭を少し下げると
何事もなかったように
また俯くように下を向いた
二人はその様子を見て
少しだけ安心した顔になり
ロビーを抜けて外に出て行ったのだった