第27章 喪失 6
パンを一口に食べた時だった
ミヨの瞳に
食堂のマリアの絵が映ったのだ
ミヨ「・・・・・・・」
丸山はその瞳を見逃さなかった
ミヨの動きが止まっていた
丸山「どうかされましたか?」
丸山の声掛けに
ミヨは静かに言葉をだした
ミヨ「・・・・神は
本当に救ってくれるのでしょうか?」
ミヨの言葉に
丸山も大倉も顔つきを変えた
それは長年の間
自分たちも思っていた事だったから
忌まわしい身体になって
何度となく悲しみの涙を流しただろ
どんなに願っても
この渇きの恐怖からは救われず
自分たちの存在の意味さえ
見えずに過ごしていたのだ
救いなどあるのだろうか?
ミヨの言葉に答えられずに
丸山は俯いてしまった
そこに二人の後ろから
だるそうな男の声が聞こえてきた
渋谷「神に救われようとするほど
愚かな事はないやろ・・・」
その声に三人は振り返った
渋谷はゆっくりと三人の所に
あくびをしながら歩いて来ていたのだ
大倉「・・・・すばるくん」
その姿に大倉は何故かホッとしていた
渋谷はゆっくりと三人の顔を
順番に見つめると
渋谷「不幸からの脱出は
自分でするもんやで
神はそれを見守ってるだけや」
渋谷は頭をボリボリとかきながら
三人に向かって言うと
その言葉にミヨは反応を示した
ミヨ「自分でするもの?」
渋谷の言葉を考えながるように俯く