第27章 喪失 6
ミヨに渋谷は
少しだけ微笑みながら
渋谷「救いを待ってる奴は
絶対に幸せになれん
ホンマになりたかったら
自分で汗かいて涙流して掴まんとな」
丸山はその言葉を渋谷らしいと思った
丸山「・・・・本当にそうだね」
大倉も少し微笑んでいた
大倉「・・・確かに」
渋谷「前を見ん奴には
未来はみえんよ・・・・」
そう言うと
突然ミヨの横の椅子に座ったのだ
その事にミヨは驚いて少し
渋谷から逃げようと
座っている椅子から身体を動かした
そのミヨを深紅の瞳で冷たく見つめ
渋谷は言い放った
渋谷「アンタ完全に
死に取りつかれてるで・・・」
ミヨはその言葉に驚いた
渋谷は全てを見抜いていると
思ったのだ
渋谷「ホンマ、
プンプン匂ってさぁ
眠ってられんかったわ・・・」
そう言うと
眠そうにまたあくびをしたのだ
ミヨ「・・・・私・・」
ミヨは自分が死んでいた事・・・・
雪が代わりに捕まった事・・・・
胸の中でグルグルと回り苦しくなっていた
苦しそうに口を開くミヨに
赤い瞳のまま渋谷は言った
渋谷「まぁ、無理して話さんでもええ、
でもアンタが変わらな
この状況は一切かわらんで?」
ミヨは渋谷の言葉を
悲しそうな瞳で見つめていたが
ミヨの胸に小さな灯が点いた気がした
渋谷「俺が言いたかったのは
それだけやから・・・・」
そう言うと
渋谷は椅子から立ち上がろうとした
その時だったミヨが渋谷の腕を
震えながら掴んだのだ
渋谷は掴まれながらミヨを見た
ミヨ「・・・・お願い・・
助けて下さい・・・・」
今にも消えそうな声を三人の吸血鬼は聞いて
静かに頷いたのだった