第17章 インターハイ本番
こーしがコートに投入されたのは、青城戦1セット目、青城が20点の大台に乗った時だった
ひやかし混じりに観戦していた他校生達は、出場者名簿を確認して声を上げる
「2番....あ、3年だ」
「ゲェー!じゃあ入りたての1年にスタメン獲られたんだ!?」
人によっては負けを覚悟した烏野の監督が、『3年生に記念出場』させたとさえ思うだろう
『.....』
コート上の2番の背中を見る、こーしなら大丈夫
ひとりひとりに腕を振り上げ、いつも通りの温かな表情で全員に笑いかける
「大丈夫!一本切ってくべー!!」
こーしの笑顔に、全員が釣られて歯を見せる
一気にテンションを取り戻すコートの中を見ていた日向が、隣の影山を物言いたげに一瞥し、相変わらず凶悪な顔付きの影山が彼を見つめ返す
「…?なんだよ?」
「ホラもー。お前顔怖いんだよ」
「元々こういう顔だ!!」
あの2人も大丈夫そう、かな、良かった
こーしがふとこちらを見るとにっとあの笑顔を見せてくれる
「見てろよ」
口元をぱくぱくしてはそう言ってくれる、何度も頷いては頬緩めると嬉しそうに笑ってくれる
それから、烏野は連続得点をもぎ取りながらも、先に20点台の大台に乗った青城の背中を捕える事が出来ない
なんとか喰らい付く烏野を振り落とすように、青城は22点で徹のサーブを迎えた
会場中が、1セット目の終了を予感する
あっという間に、青城のセットポイントまで追いつめられた
「上手いな」
「及川君、すごいよねーっ」
どこからか可愛らしい女子がこちらを振り返った
青城側の応援、私服なところから見れば、及川のファンかな、きっと