第4章 きゅうじつ
あいつのせいだ
どうせあのノミ蟲が仕組んだことだ…
が「かっこいい」って言ったこと、やっぱり気づいてやがった
それに多分、俺がのことを好きなのも気づいてる
臨也にとってこんなに面白いことはねえんだろうな
俺の好きな人とニコニコ話して、そんなに楽しいか。
お前は本当に最低だ。
は臨也に微笑みかける
俺に見せたことのない笑顔。
俺に向けて欲しかった、好きな人に向ける笑顔だ。
ガラス越しに見える2人の姿は恋人同士みたいだった
爆発寸前の怒りは、の姿と隣にいる幽によってギリギリ抑えられている
特にには。嫌われたくない…
こんなこと考えてんのも苦しかったし、見たくもなかった
でも動けない
ショックのせいか、足がすくむ
シャツの袖を引っ張られたことで我に返った
「兄さん」
その声もしっかり聞こえる
幽は何かを察したのか、そのケーキ屋とは逆方向に歩いていく
俺は最後にまたガラスの向こうで楽しそうに笑う2人を見て、臨也の横顔を睨み付けた
そして幽について行った
家に帰ると、残りの休日は寝てばっかりだった
ケータイも開かない、スイーツも食わないし牛乳も飲まない
眠くなくても寝れた
寝てると、何も考えなくて済む
何も考えなくていいのがとにかく幸せだった
土曜の夜にからメールが来ていたことも知らなかった
そのメールに気付くのは日曜の夜
“すごく美味しいケーキ屋さんがあったの!
よかったら一緒に行こう?”
俺は一言だけ、
“今度な。”とだけ返した
は何も悪くないはずなのに、どうしてきつく当たってしまうんだかな…
情けね。