• テキストサイズ

【デュラララ!】一方通行

第3章 ぶんかさい



「静雄…くん…」

それは文化祭での出来事だった

いつも通り一緒にいる2人。

模擬店にもいくつか行き、階段に座って話をしていた

突然名前を呼ばれたせいか、少し吃る静雄

「お、おう、なんだ」

はなぜか、俯いて少し言いにくそうにしている

文化祭という特別な日、盛り上がっているこの時、
彼は突然の告白という可能性を期待した

しかし彼女の口から出てきた言葉は、幸せな夢とは程遠い言葉…

「あれ、折原くん…だよね」

その名前を聞いただけで手に力が入ってしまう静雄

目線の先には文化祭の出し物のためにヴァンパイアのコスプレをした臨也

「おう。あれは吸血ノミ蟲だ。」

ともかく眉目秀麗な彼は、静雄との大規模な喧嘩など知らない他校の女生徒に囲まれている

黙って大人しくしていれば女子から人気が出てしまう
街で歩いていると、何も知らない女性は振り返るほどの美少年

それが折原臨也。


少しばかりの沈黙

秋らしい爽やかな風が吹く。

そして、臨也のマントが翻る





「すごく…かっこいいね…」





静雄の手に持っていた缶ジュースが握りつぶされた

オレンジ色に染まるシャツを見て、がいそいそとハンカチを取り出す

‘‘それを俺に言うなよ…”

ただかっこいいと言われただけならば、こんなにショックは受けなかっただろう

言われた相手が一年の頃から好きだったであること

軽いノリでもなく、言いにくそうに、照れ臭そうに言っていたこと

静雄の仇敵であることを知った上で言っていること

それが静雄を不安にさせた

それと同時に一つの考えが脳裏をよぎる。

“……ノミ蟲のこと好きなんじゃないか…?”


がシャツに染みたオレンジジュースを拭き取っているとき、静雄は一言も声を発さなかった


臨也の視線を感じたからだ



チラリと様子を見てみると案の定こちらを見て、“今の聞えたよ”と言わんばかりにニイと笑う少年の姿があった



臨也は思う

『面白くなってきたじゃないか』

…と。

/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp