あなたの声が聞きたくて【another story】
第2章 及川徹
「徹が好き。」
花火大会の時に花火を見たあの神社で言われたのは
俺が一番聞きたかった言葉。
それを聞いた瞬間、一瞬夢かと思った。
心のどっかできっと諦めていたところがあったからかも知れない。
けど俺を選んでくれたからには、絶対に幸せにする。
これからずっと隣で、って。
そう、決めてたんだけど、、、
優「私ね、女子日本代表に入ることになった。」
彼女は俺よりもずっと前にいて、
物理的な別れが刻一刻と迫っていた。
彼女は合宿のため学校にもほとんど来れなくなる。
会うことすらままならないだろう。
あぁ、また離れてしまう。
思えば優は俺が嫌いとする“天才”という類の選手だった。
好きという感情があったため嫌いにはならなかったが、こういう時、嫌でも思い知らされる。
“彼女は天才だ”と。
努力を惜しまない事も知っている。
それでも劣等感を感じてしまう。