あなたの声が聞きたくて【another story】
第10章 岩泉一誕生祭【番外編】
タクシーを使って言われた通りの場所に向かうとポコン、とケータイにメッセージが届く。
『早く来い』
うるせぇなぁクソ。
返事はしないままバーの扉を開けると真っ暗な世界が広がる。
「おい__」
「「「「ハッピーバースデー!!!」」」」
パッ、と着いた明かり。
パンッパンッ、と弾ける音。
眩しさがおさまった頃にそっと目を開けると
かつての仲間と世界を共に戦った代表のメンバー、そして俺の最愛の人がそこに居た。
「驚かせたかったの。ごめんね?」
花束を抱えた彼女に1歩ずつ近づき、紙袋を置いて細いのに頼もしい身体を抱きしめた。
「誕生日だし許してやるよ」
「生まれてきてくれてありがとう、はじめ。」
愛してるよ
俺にしか聞こえないように囁かれた言葉を噛み締めるように腕に力を込めた。
「おふたりさーん?俺らいること忘れないでねー?」
揶揄うような言葉に周りを見渡せば不満げな表情を浮かべた奴らが。
「るせぇな。誕生日くらい好きにさせろよ。」
「どうせいつも好き勝手やってるんでしょー?」
あ、思い出した。クソ川ブッ飛ばすんだった。