あなたの声が聞きたくて【another story】
第8章 国見英
優さんの目が瞬いて驚きを示していた。
「ほんとに、それでいいの?」
「俺は優さんが好きです。リスクとか俺なりに考えたつもりです。それでも俺は、優さんが欲しい。」
目を見てそう言うと彼女は笑ってくれた。
「よろしくね、英。」
「はい。」
向かい合って差し出された手のひらを握り返すと、まるで試合開始の挨拶のよう。
俺達の恋人としての時間が始まった。
「じゃー帰ろっか!」
「そうですね。」
握手を素早く恋人繋ぎに変えて歩き出す。
優さんの体温が心地良くて、この人に抱き締められながら寝れたらどれだけ幸せだろうと思った。
俺より小さな歩幅。
俺より小さな手のひら。
ふわふわ揺れる茶色がかった髪の毛。
全部愛しい。
この人の傍にずっと居たい。