あなたの声が聞きたくて【another story】
第8章 国見英
優さんは俺を好きだと言ってくれた。
俺が告白をしたあの公園で。
けど、優さんはちゃんとよく考えて返事をくれと言った。
一時の感情に身を任せるなって。
何言ってるんだこの人はって思ったけど、取り敢えず分かりましたとだけ答えた。
返事はその場でしようと思ってたのに、また今度聞かせてって、優さんはさっさと帰ってしまった。
次の日、部活に顔を出した優さん。
監督の言葉で、優さんの言ってた意味を思い出した。
「高崎が全日本代表入りの為の調整として、今日から練習に加わることになった。どんどん技を盗んでいけよ!」
ガツンッ
鈍器かなんかで頭をぶん殴られた気分。
彼女の存在が、いままで以上に遠くなる。
優さんが言ってたのはこの事だったのか。