第3章 寝付く先は
「良いんスか?
他の野郎に好きな女触られても」
シャチがいきなり声を発する。
「あれ、シャチ居たの?」
「さっき来たところだ」
お前は、なんで俺のこいつへの気持ちを知っている。
セツナ以外には、誰にも言っていないことの筈だ。
「…どういう意味だ?」
分かり切ったことを聞く。
「そのまんまっス。
いくらベポでも、男には変わりないっスよ。
男にセツナ触られて、良い気はしないでしょ」
「…」
言われて見れば、その通りだ。
シャチに指摘され、それを考えるだけでイライラが収まらない。
「しかも船長、結構な焼きもち妬きっスからその標的にされると厄介なんすよ」
その言い方には、若干頭に来るものがある。
「…そうか」
それをなんとか堪える。
「どうします?
船長が運ばないんなら、俺が運びますけど」
「…良い、俺が運ぶ」
「あ、それからペンギンからの伝言っス」
それを先に言え。
さっきの茶番は、必要であったとは到底言えるものでは無い。
「雑用は他の奴に任せて、出来るだけセツナを航海の方に回してくださいって」
「航海に?」