第10章 繋がる想い
カイの様子も確認出来たので、部屋へ戻る。
すると、黒々とした空気が漂っていた。
「な、に…?」
その空気は、トラファルガーの周りを立ち込めているようにも見える。
「…」
当の本人は無言のまま本を読んでいる。
怖い…。
そう思った。
普段、どんなに睨まれても悪態をつかれてもそう感じることな無かったけど、今は確かに思う。
“ 彼が怖い… ”
いや、正確に言うと彼とその空気が怖い。
トゲトゲしく、ビリビリとした怒りを肌に感じる。
「どうしたの…?」
恐怖からか、声が震える。
「心当たりは…ねぇのか?」
ジロリ、と言う言葉が相応しいくらいの目付き。
「…ない、分かんない。
ごめんなさい…」
押し潰されるような空気から、自然と謝罪の言葉が出て来てしまう。
「お前は何度俺を惑わせれば気が済む…」
「え?」
「言え、何度だ」
「そ、そんなこと…」
惑わせてるつもりなんて、無いのに…。