第6章 犬猿の仲
「何すんだよ!セツナ」
「シャチ、そんなこと後にして。
海軍よ」
「っ…」
シャチの、いや皆の顔が引き締まる。
「俺の船を狙うとは、良い度胸じゃねぇか…。
…思い知らせてやれ」
低く、愉しそうに命令を下すトラファルガー。
そんな彼には、逞しさと安心感を感じる。
だが、同時に言い様の無い不安感も胸に広がる。
「なんだセツナ、怖じ気付いたのか?」
「そんな訳ないでしょ」
そう、そんな筈は無い。
海軍の襲撃なんて慣れっこだ。
強い仲間も居るから、いつもよりは安心出来る。
なのに…この訴えかけて来るような、嫌な感覚は一体なんなのだろうか。
戦う恐怖からでは無く、ジワジワと胸に広がる恐怖。
そんな思いがなんなのか分かる筈も無く、自分も海軍と戦う為に甲板へ出る。
「え?」
甲板へ出ると、今まで見た中でも大きい海軍船がすぐ側まで来ていた。