第6章 犬猿の仲
「ちっ…なんで気づかなかったんだ」
苦々し気にトラファルガーが言う。
ドシン、と大きな物体が船へ降りて来た。
しばらくして、それが人であることに気づいた。
そして、降りて来た奴は体格が大きく深く帽子を被った男だった。
「よぉ…久しぶりだな。殺人鬼」
「え…?」
私の名を、知っている…?
知り合いなのか?
いや、手配書があるしそうとは限らない。
でも、久しぶり…?
「おいおい、もう忘れちまったのか?
俺の顔をよ…」
大袈裟に肩を落とし、そして被っていた帽子に手をかける。
「よーく思い出せよ、殺人鬼」
帽子を外し、なんの躊躇いも無く海へ投げ捨てる。
投げ捨てたことに、綺麗な海を汚したことに文句でも言おうと顔を上げると…。
「あっ…」
そこには、ある男の顔があった。