第6章 犬猿の仲
「セツナ…黙らせろ」
「了解」
指先をシャチの頭部に向け、発する。
「デュン・スタルカ・ヴィンド」
“ 細く強い風 ”
「げふっ…」
直撃し、そのまま後ろに倒れるシャチ。
「便利だな、その力」
腕を組み、口角を上げたローが問う。
「そうでも無いよ、結構体力使うし」
「俺と似たようなモンか…」
「そうなの?」
「あぁ、俺も使う程に体力を消耗する」
「へー…そうなんだ」
ローのことを知れて、少し嬉しくなるセツナ。
似たような、と聞いて更に胸が踊る。
そんな胸の高鳴りも…。
ドーンッ…グラグラ…。
この振動で一気に冷めてしまう。
「ちっ…なんだ?」
「キャプテン!海軍だよ!
海軍の襲撃だよー」
ベポがいち早く情報を伝えてくれる。
だって、普段情報をくれる彼はこの通り伸びてしまっているのだから。
「ってぇ…」
先程の揺れで目を覚ますシャチ。
どうやら彼の魂が、本能が目を覚まさせたのだろう。