第6章 犬猿の仲
「…俺にも敬語じゃなくたって良い。
なんかそれ、くすぐったくてな」
「ん、分かった。ペンギンさん」
「おう」
ペンギンさんはペンギンさん。
なぜか呼び捨てに出来ない。
シャチとかベポは普通に出来るのにな。
雰囲気も雰囲気だから?
「手ぇ止まってるが、良いのか?」
「え?」
慌てて視線を手元に戻すと、確かに手が止まっていた。
集中しなくちゃ…。
「こんなとこで何やってんだ」
「キャプテン!
キャプテンがバラしたシャチを直してるの」
ちょっと違うような気もするけどてまぁいっか。
「セツナが力使ってか?」
「キャプテン、セッちゃんの魔法知ってるの?」
「魔法?」
何言ってんだ?と言う顔のまま、こちらを見るトラファルガー。
目だけで、なんとか誤魔化してくれるように頼む。
「ふっ…まぁいっか。あぁ、知ってる」
「凄いよねー、セッちゃん」
「シャチごときが、セツナの手を煩わせるなんてな…」
どこか危ない方向へと行ってしまいそうな呟き。