第6章 犬猿の仲
「じゃ、じゃあ私も寝ようかな」
「…そうだな。じゃあ俺も寝るか」
「え…」
「あ?何固まってんだ」
勿論セツナは、意識がある時にローと寝るのは初めてな訳で。
「…何もしないでよ?」
「何言ってんだ、しねぇよ。
別に女に飢えてねぇ」
「あ、そう」
「お前ごときに俺の触手は動か無ぇよ」
最後の一言は余計じゃない?
最初に好きとか言って来たの…そっちじゃん。
なのに触手は動かないとか…。
好きだったら手出したいとか思わない訳?
って、何考えてんだろ…私。
いけないいけない、こいつの変態回路が移ったんだ。きっと。
「…俺風呂入ってから寝るから、先寝たらどうだ?
一緒に寝んのは不安なんだろ」
「分かった」
意外と優しいところあるんだよね、こいつ。
「…寝相悪かったりしやがったら許さねぇからな」
「た、多分大丈夫だから…」
やっぱり、優しくなんか無い。
こいつの場合…1割の優しさと9割の毒で出来てるんだ。
ほんの少しだけある優しさなんて、気にするだけムダ!
ムダ…だから。
そう思いたい、思ってる筈なのに…なぜだか一々反応してしまう自分が居る。
そんな自分が憎い。