第2章 ◆任務の後
そんなこんなで特に大きな事件も無く
数日が過ぎたある日、
俺はアレンと任務に行き、
アクマを倒してから教団へ戻る道中。
「はぁーーー。」
俺は帰還を待っているであろう
ストーカーエクソシストに憂鬱を覚えていた。
「ラビ、
帰るっていうのに、ため息ばかりですね。」
そんな俺に気遣う事もないアレンが笑顔で話し掛ける。
「憂鬱以外の何なんさー?」
ぼーっと空を見上げていた視線を
隣で同じ歩幅で歩くアレンに向けると
アレンは心底不思議そうに首を傾げた。
そして、
「…サラはラビのストライクなんでしょ?」
迷いの無い眼差しで俺は問いかけられる。
…そうさ、
顔は可愛いし、華奢な姿が男の守りたいって衝動を
駆り立てる。それは隣に居たリナリーよりも
俺にとっては目が釘付けになる存在だった。
でも、
でも、
「…あんな、
ストーカー気質だとは思わなかったんさ!」
俺は涙ながらにアレンに縋り付いた。
そう、俺だってブックマンの後継者でなけりゃ、
全力でサラを迎え入れていたかもしれない。
…なんて、自惚れかもしれんけど
現実を言うと、あくまで俺は傍観者なんさ。
そんな傍観者の俺が舞台に立って、
ましてやヒロインをかっ拐う事なんて
到底、出来っこない。
だから俺はサラと距離を取ろうとしてんだけど…
その俺の無意識の押し引きが
サラの追跡心に火をつけたらしい。
「サラ、今日もきっと待ってますよ。」
アレンに縋る俺に、アレンはとどめを刺す如く
爽やかな笑顔でそう告げた。