第5章 ◆休暇の後
「 脈アリかナシかで云うと
極限にナシに近いんだけど・・・」
ぼそっと呟いた俺の言葉。
・・・多分、きっと・・・
「 次は、何処行こうね!楽しみっ!
ラビと私の記念日になるんだね・・・!」
「 ・・・。」
やはり、
彼女には微塵も届いていませんでした。
俺のことそっちのけで
両手を胸の前で合わせ
次のデートプランを練り始めたサラ。
彼女の頭上には分かりやすいほど
花が散って煌めく世界が
浮かんでいるんだろう。
「 ハァ・・・。
もう、いいだろ。行くさー。」
でっけぇため息を零して
目の前のサラを見据えた後、
自分の世界に浸るサラの腕を掴み
俺は先を急いだ。
「 ええっ?どこ行くの?!
もう、ラビの部屋?!」
「 何言ってんさ、
コムイん所行って報告だろ。」
俺が急に腕を掴み前進したもんだから
ふらっとバランスを崩すサラは
倒れそうになる事もお構い無しに
ちょこんとジャンプして持ち堪える。
そういう動体視力は良いんさな・・・。
少しだけ感心しながら
コムイの部屋、所謂室長室までの道程を急いだ。
「こんなにも沢山
ラビと手を繋いで歩けるなんて、
今日は本当に夢見てるみたい・・・。」
「 ・・・」
サラの染々と零した小さな言葉。
俺は聞こえない振りをして
目視出来る範囲まで来たコムイの部屋へ急いだ。
ー・・・んなもん、
手なんていつでも繋げるっての・・・。
そんな俺の想いは秘めたままで。