第4章 ◆休暇任務
『あ、うん。
こっちに来てくれてたラビを
アクマと間違えて撃っちゃったから、
ラビが来た方向だよ。』
こちらに向かせれば
サラは真剣な面持ちで簡潔に話す。
「 ・・・なるほどな。
俺が上空に行くまでは
何の気配もなかったから
きっと、上空に上がる前の
地上に居た俺の位置と
今ここに居るサラの間に
アクマが潜んでるってわけさ?」
大雑把に謎解きをすれば
さっき俺が鉄槌で飛んで来た方向へ
目を向ける。
『 ・・・うーん、何も見えないね。』
「 体張って探すしかねぇさ。
ほら、行くぞ。」
いくら目で探しても
不審な影は見当たらず、
音を上げたサラを横目に
俺は鉄槌を構えて
森林の奥へと歩き出した。
『 ・・・うん。
それじゃあ、私は左側と
念の為、後方もチェックするね。
ラビは前方と右側をお願い。』
「 おう、任せろ。」
少し遅れをとって俺の左側に落ち着くサラは
対アクマ武器というそのピストルを
カチャリと胸の右側に構えそう言った。
すかさずポジションを分けて
お互いいつでも応戦出来る姿勢を取る。
ー・・・正直、
たまたま現れたアクマを追っている今
アクマが何体居るのかも不明で
何を襲うか、や、イノセンスの可能性等
そういった情報が皆無な上に
同じ任務に行ったことのないサラとの応戦。
サラの対アクマ武器さえも
大まかな説明をアレンから・・・
これもまた、たまたま聞いただけで
実際の戦闘は初めて、という
分からないことだらけの不利な状況。
強いていえば、
サラの対アクマ武器がピストル
ってことは遠距離攻撃が可能、
俺のイノセンスは近距離型。
そのバランスを崩さず行けば
何とかいけるだろう。
・・・ただ、非番のおかげでお互い私服。
団服のローズクロスを胸にしていない今
俺達は一見、一般人さ。
アクマが見境なく襲ってくれば話は早いが
スルーされると厄介。
・・・とにかく、街に被害が及ぶ前に
片付けねぇと。
そんな事を考えながら
左側と後方はサラに任せながら
右側と前方に意識を集中させた。