第23章 華
ふわふわとした感覚に、ぱちりと目を開けた。
「・・・こ、こ・・。」
「あぁ、起きたの?」
青紫色の髪を巻いてタバコを吸い、丈の長い白衣を着ている女性。
「・・・私死んだわけ?」
「死んでるわけないでしょ。幽体離脱ってやつよ。私の娘は面白い発想してるわねぇ。」
メアリー「・・・じゃあ何でお母さんはここにいるわけ?」
アン「ありがとう。あの人達の子供を守ってくれて。」
メアリー「・・・。」
アン「貴女が貴女で良かったわ。じゃなきゃあの子は死んでいた。・・・あの子だけじゃないわ。」
メアリー「ねぇ、私は貴女とロジャーの娘だけど、それだけじゃあないよね?」
アン「・・・よく、分かったわね?」
メアリー「本。」
アン「!見つけたの!?」
アンはガバッと立ち上がった。
メアリー「・・・村の近くの山。廃家があった。年代的にも間違ってない。」
フーシャ村に、住んでたんでしょう。
アン「・・・まさかそこに辿り着いてたなんてねぇ。」
ふーっと煙を吐き出すアン。
メアリー「・・こっちの事は何でも見えてるもんだと思ってたけど。」
アン「その頃にはここにいなかったから分からないわ。・・・見つけてくれたのね。“医学書”。」
メアリー「お陰でエース達の怪我を治せた。感謝しとくわ。」
アン「じゃあ、貴女が海へ出たのは?」
メアリー「・・・血が、騒いだのよ。」
アン「・・ま、それもそうね。あのバカの娘だもの。」
メアリー「ねぇ、お母さん。」
アン「・・・答えてあげるから、座りなさい。」
アン「海王類と意思疎通が出来る事について、でしょう?」