第15章 出発
エース達が旅立って以来、ルフィはメアリーの家にあまり来なくなった。
メアリーの家は相変わらずファンタジーである。
ガチャッとノックもする事なく開かれた扉。
「メアリー、元気じゃったか?」
メアリー「・・・あら、ガープおじさん。」
ガープ「じいちゃんでいいと言っておるじゃろ。」
ドカリとメアリーの正面のソファに座るガープ。
ガープ「・・・エースが、出て行ったそうじゃな。止めんかったんか。」
メアリー「えぇ。大事な弟たちの決めた道だもの。」
ガープ「・・・険しい道になると分かっててか。」
メアリー「そんな事で立ち止まるような子に育てた覚えはないわ。」
ガープ「ま、それもそうじゃの。」
メアリー「そんな事で来たわけじゃないのでしょう?おじさん。」
ガープ「・・・分かるか。」
コトリ、とガープの前に置かれるお茶。
ガープ「・・・海軍の上層部、それこそ儂やセンゴク、おつるちゃんくらいなもんじゃがのぅ・・。お前の素性を調べた。」
メアリー「・・・。」
ガープ「じゃが、出てきやしなかった・・・。お前さん、何者じゃ?」
穏やかに動物を撫でていたメアリーの目は、変わらなかった。
メアリー「私は私。データは残念だけど改ざんさせてもらっちゃった。」
メアリーの肩に乗って来る沢山のリス。
メアリー「ここで暮らす、ちょっと変わったメアリー。これが私よ。」
メアリーと動物たちの目先は、全部ガープだった。
ガープ「いつか世界はお前を見つけるぞ。」
メアリー「それでも構わない。永遠の平凡なんて、それこそ非凡だわ。」
ガープ「・・・!」
永遠の平凡ってね、その人を壊しちゃうと思うの。違わない?
そう言って笑う女性を、ガープの脳裏に浮かばせた。