第14章 20歳
お昼前、エースは家に戻って来た。
メアリー「おかえりエース。」
エース「・・ん。」
無言で突き出される袋。
メアリー「・・・?」
エース「誕生日プレゼント。」
エース16歳。身内にはべた甘だが、他人には一切容赦しないギャップが激しい。
そんなエースがくれた袋を取り出してみれば箱。
メアリー「・・・ピアス?」
メアリーの青紫色を強調するような真っ白な大きいフープピアス。先端にはメアリーの目と同じ緑の宝石。
メアリー「・・・綺麗。」
エース「姉ちゃんに、似合うと思って。」
メアリー「・・ありがと、エース。これから毎日つけるね!!!」
メアリーは嬉しそうに、大事そうに箱を抱きしめた。
エース「!おぅ!!」
それを見たエースもどことなく嬉しそうである。
メアリー「あー・・・もう二十歳かぁ。ね、アルー?」
夜になり、バカ騒ぎしていた3人兄弟は既にメアリーのベッドを占領して爆睡中である。
メアリー「・・・あと1年で、長男二人は出てっちゃうねぇ。」
その言葉に反応するかのようにメアリーに寄り添うアル。
メアリー「・・・あっという間、だね。大きくなるなんて。」
机の上にあった紙に手を伸ばす。
メアリー「・・・こっちも、あっという間。」
Alive only
"山の姫"
300,000,000―――
※なお、素顔などの情報提供にも賞金を差し上げる。
メアリー「・・・感付いたわね、犬共。」
そう言うと、ぐしゃりと紙を握りつぶし、ゴミ箱に投げ入れたメアリー。
メアリー「私は安くないわ。お父さんと、お母さんの子供だもの。」
アルは足元ですやすやと眠っていた。
メアリーの耳元では鮮やかに緑色が光っていた。