第12章 ゴア王国
「いと哀れなり。」
ドグラが港を離れた後、それは起こった。
天竜人「・・誰だ貴様。私の乗る船に乗り込んできおって!!!!」
天竜人は侵入者に武器を向ける。
金髪。目元の狐のお面。ワンピース。
素性は全く分からない。
天竜人「下々民が私の前に立つな!!!!」
「お前たちみたいな人間なんて、必要ない。」
撃たれる前に女は武器を蹴り上げる。
女は天竜人の首元に足先を向ける。
「滅びてしまえばいいものを・・・。」
天竜人「ま、待て!!!私に怪我をさせていいと思っているのか!!海軍の大将が来るんだぞ!!!」
そんな言葉は、女に届かない。
「誰だって相手にしてやる。お前は子供の尊い命を奪おうとしたんだ。・・・自分が殺されるとわかっての事だろう?」
女は容赦なく天竜人に蹴りを喰らわせる。
たった一撃。それだけで天竜人は気絶した。
「・・・くだらない。」
スクッと立ち上がると、船から降りようとする。
海軍「貴様・・・天竜人に手を出してタダで済むと思うなよ!!!!」
「・・・弱者が吠えるな。うるさい。」
海軍「何だと・・・。総員!かかれ!!!」
数分経ったのち立っていたのは女だけ。
武器は木の枝で作ったであろう棒に、石を削って作られた先のみ。自然と共存しているようなその姿。
海軍「・・・山の・・姫・・・。」
「・・・さようなら。」
女は船から飛び降りた。
慌てて下を見るも、あるのは海だけ。
女は消えてしまったのだ。