第2章 誕生
「おぎゃあおぎゃあ・・・!!」
とある家で、赤ん坊の生まれた声がした。
メアリー「ママ・・・!!」
ルージュ「・・・あの人と、私で決めた名前・・・!女の子なら、“アン”・・・男の子なら・・・“エース”・・!!」
メアリー「・・・エース・・。」
ルージュ「・・ふふっ。あの人と同じ、黒髪・・・。」
愛おしそうに、生まれたエースを抱えるルージュ。
ルージュ「メアリー。」
ルージュはメアリーを呼び、ベッドの脇に座らせる。
ルージュ「はい。」
エースを差し出すルージュ。
メアリー「え・・・いい、の?」
ルージュ「メアリーは、お姉ちゃんでしょ?(ニコッ」
メアリーはおずおずとエースを受け取る。
すると、エースは泣き疲れたのか寝てしまった。
ルージュ「あらあら・・・。(クスクス」
メアリー「エース・・・。いい名前・・。」
ルージュ「・・・ねぇ、メアリー。お願い。エースを連れて・・・海に出て。」
メアリー「・・・!?ママ・・・?」
ルージュ「お願い・・・エースを託せるの・・は、貴女だけなの・・・。」
ルージュの目元には、あの時のように涙が溜まっていた。
メアリー「ママ・・・?嫌だよ、ねぇ、ママ!」
ルージュ「まだ小さいメアリーには、大変かもしれないけど・・・でも、私は・・貴女にしか頼めない・・・!」
私の代わりに、エースを育ててほしい。
メアリー「ママ・・・!(涙」
ルージュ「私、アンとの約束・・・守りきれ・・なかったなぁ・・・。」
メアリー「ママは・・・!!ママは、お母さんとの約束、守ってくれた!!私を育ててくれたもん!!!だから・・・!だから、泣かないで!!エース、私育てるから!!!だから・・・っ!!」
メアリーの目にも涙が溜まる。
ルージュ「・・・あり、がと・・・メアリー・・・。」
大好きよ・・・。
メアリー「・・・ママ・・?ママッ!!!!」
メアリーは、声を出す事なく、静かに泣いた。