第11章 コルボ山
メアリー「ねぇサボ。山犬が人間に懐いてるの、見た事ある?」
サボ「いや・・・あり得ないな。」
ご飯を食べるメアリー達の下でメアリーの与えたエサを食べている山犬。
メアリー「んー・・・可愛いからいいんだけどさ。ねー?アル。」
そう言いながらメアリーは山犬の頭を撫でる。
サボ「・・・アル?」
メアリー「この子の名前。勝手につけた。」
エース「・・こんな大きな山犬、滅多に見ない。」
大人一人容易く乗せてしまいそうな身体。子供であれば3人くらいは乗れるだろう。
メアリー「・・・。」
メアリーが何か思いついたような顔をしたのには、アルを見ていた二人は気付かなかった。
翌日の朝、エースが目覚めてみると、メアリーの姿が見えない。
エース「・・・姉ちゃん?」
家の中を探してみるも、メアリーの姿はなかった。
サボ「姉ちゃん、何処に行ったんだ・・?」
エース「・・・。」
すると、ガチャリ、と扉が開き、そこにいたのはメアリー。
サボ「姉ちゃん!何処行ってたんだよ?」
メアリー「アルに乗って果物を取りにね。」
下を見ると、確かにメアリーはアルに跨り、手には沢山の果物が。
エース「・・・お前、姉ちゃんを守ってくれるのか。」
そうアルに問うと、アルはメアリーを乗せたまま、エースに近寄る。
ぽとり、と加えていた何かを落としたアル。そのままエースの横を通り過ぎ、キッチンへと歩いていく。
エースはアルの落とした物を拾った。
それは、決して安価ではないと予測できるネックレス。
1つだけ輝く宝石を際立たせるデザイン。気品のある一品である。
エース「・・・あいつ・・。」
それからというもの、メアリーには外出の許可が降りた。
アルと一緒という条件付きではある。