第8章 少年
サボ「ここが・・・メアリーさんの家か?」
エース「おぅ。姉ちゃんの家すげぇんだぞ。小鹿とかいっぱいいるんだ。」
サボ「どこぞのお伽噺か!」
ガチャリとエースはためらう事なく家のドアを開ける。
森の中に家を建てているせいか、メアリーの家には鍵という概念がない。窓も開きっぱなしの時が多い。加えて、メアリーは弱くない。故に、小動物たちは安眠を求めてメアリーの家に来る事がたびたびだった。
メアリー「エース、サボ、いらっしゃい。」
そこには野生のリスと戯れているメアリーがいた。
エース「な?」
サボ「・・・すげぇ。」
メアリー「飲み物何かいる?」
エース「何でもいいぞ。」
サボ「あ、俺も!」
メアリー「はーい。おいで、クルミあげるから。」
メアリーが椅子から立ち上がると、複数のリスがメアリーの肩や頭に飛び乗る。
サボ「・・・。(ポカン」
エース「サボ、こっち座れよ。」
サボ「・・・え、俺の部屋?」
メアリー「うん。片付けしたから使っていいよ。エースの部屋の隣ね。」
エース「ありがと、姉ちゃん。」
メアリー「弟なんだから当然でしょうが。」
ガチャリと部屋の扉が開く。
そこには、ベッド、机、椅子、クローゼットが置いてあるだけのシンプルな、それでいて決して小さくはない部屋だった。
メアリー「足りない物があったら何でも言ってね。あと、この部屋は自由に使っていいから。」
サボ「・・・!」
バッとメアリーを見るサボ。
メアリー「壁もいじっちゃっていいよー。どうせ中古の家だもの。」
サボ「・・・凄い、な。メアリーさん。」
メアリー「?そうかな??普通じゃない?」
サボ「・・・ありがとう、“姉ちゃん”。」
メアリー「!・・・いえいえ。(ニコッ」
メアリー、弟が増えました。