第7章 あの子
コンコンッと家の扉をノックする音。
マキノ「メアリー~?私、マキノよ。」
メアリー「開いてるー。」
がちゃっと扉を開いて入って来るマキノ。
マキノ「村の人たちが妖精に春が来たって騒いでたから何事かと思って・・・あら、その子が弟?」
メアリー「うん。ダダンのとこから引き取ってるの。」
マキノ「そうねぇ・・・あそこは病気とは無縁だものね。」
エースはメアリーの膝の上で布団を被って寝ていた。
メアリーは洗濯物を畳んでいる途中だった。
メアリー「エース、一年中半袖やタンクトップで過ごしてるって聞いて服を買いに行ったの。」
マキノ「あぁ、なるほどね。何か手伝える事あるかしら?」
メアリー「大丈夫。もう終わってるの。」
マキノ「あら、さすがねー・・・。私も見習わなくちゃ!」
メアリー「マキノさんはもう凄いと思う。一人で酒場経営してるし。」
マキノ「そう思ってくれてたなんて、光栄だわ。(ニコッ」
ガサッと机に物を置くマキノ。
メアリー「・・・??」
マキノ「いろいろよ。卵とか牛乳とか、野菜とか。」
メアリー「・・・いいの?」
マキノ「いいわよ。その様子だと、買い物には行けないでしょ?」
メアリーの服の裾を掴んで寝ているエース。
メアリー「・・・ありがとう、マキノさん。」
マキノ「お礼はメアリーのケーキがいいわ♪」
ちゃっかりお礼を頼むマキノ。
メアリー「クスッ)いいよ。作るね。」
マキノ「ありがと。弟君が寝てる間に帰るわね。」
メアリー「わかった。また後日。」
マキノ「またいらっしゃい。」
そう言うと、マキノは静かに扉を閉めて帰って行った。
メアリー「・・・さて、そろそろご飯作ろうかな。」
メアリーはエースをひょいと片手で抱き上げ、もう片方で洗濯物を持って立ち上がる。
メアリー「今日はー・・・雑炊かなぁ。」