第6章 　フーシャ村

メアリー「エースは貴方の知り合いに預ける。」




そう、確かにメアリーは言った。





ガープ「・・・随分急じゃの。ええんか？」



メアリー「エースが決めた事だから。エースの意見に反対する理由なんて、私にはない。・・・けどね。」





ガープにツカツカと歩いてくるメアリー。
メアリーの後ろをてけてけと歩くエース。




ガープもそれを見て、席から立ちあがる。













メアリー「エースに万が一の事があってみろ・・・。お前たち海軍を、お前の家族を滅ぼしてやる。」



ぼそりと、ガープにしか聞こえない程の声で低く呟いたメアリー。はっきりとは見えないが、その手には短刀が握られており、メアリーの本気度が伺えた。



ガープはゾッとした。



直観的に感じたのだ。


普通なら、こんな子供には出来ないであろう事を少女は言った。しかし、彼女なら出来てしまいそうな、そんな感じがしたのだ。





マキノにも村長にも聞こえなかったようで、二人は不思議そうな顔でガープを見ている。


エースにも聞こえなかったのか、至って普通の表情を浮かべている。







メアリー「・・・いい？エース。何かあったら家に戻っておいでね？治療が必要とか、料理が足りないとか、困ったらいつでもおいで。」
エース「おぅ！ありがとう、姉ちゃん。」







ガープは、エースを連れて山へと入って行った。














ガープ「・・・エース、お前・・凄い姉を持ったな。」


そう言うと、ガープが想定してなかった答えが戻って来た。


エース「さっきの言葉だろ。・・・姉ちゃん、やりかねないだろーなー・・。」





エースは先ほど、聞こえていなかったのではなく、“聞こえていて普通の状態”だったのだ。



ガープ「・・・聞こえておったんか。」
エース「ま、俺でもあれくらいなら言うだろーな。姉ちゃんに手出した奴はぶっ潰す。」







あぁ、この二人は似た者姉弟らしい。